How’s it going ?

二十歳のある日、幼馴染が死んだ。
それは何も前触れもない突然の連絡だった。確か、母親からだったと思う、彼が死んだと茶色のガラケーに連絡がきた。
うまく話が呑み込めない、まさにそんな感じだった。何を言われているかわからなかった。そのあと泣き崩れた。大学の学校祭の準備をしている時だった。大学の友人が慰めてくれようとしたが、触れないでほしいと思った。

すぐに北海道に帰った。幼馴染の一人が、彼に最後の手紙を書こうと提案してきたので飛行機の中で書こうと思ったが泣いてしまって書けなかった。CAさんが心配して声をかけてくれたのを覚えている。大丈夫なわけがない。

彼と僕はたぶん生まれた時からの幼馴染で、同じ地域に住んでいて、スポーツのパートナーで、そして別々の高校に行った後はライバルだった。地元の大学に進学した彼は帰省の時にあって北海道の寒いアパートで酒を飲んだりした。
中学生の時。スポーツでパートナーだったこともあり、あまり関係はうまくいっていなかった気がする。環境も厳しく、求められる期待値も高く、そしてとても幼かった我々はほとんど会話もしなかった。勝つために組んでいる、そんな感じだった。でも部活を引退して、しばらくして高校受験が始まった。私の合格発表があったとき、彼は僕にハイタッチしてくれた。僕はやっぱり彼が好きだった。いい奴だった。

僕は通夜も葬式の時も涙が止まらなかった。彼ともう会えなくなることが信じられなくておかしくなってしまいそうだった。僕たちはまだ20歳だ。つまらない議論をしたり、わいせつな話をしたり、まじめに将来を語り合ったり、お互いを祝福しあったり、そんな時間が必要だった。でも唐突にそれは夢になってしまった。
誰のせいなのだろう?僕はそんなことばかり考えた。僕のせいかもしれない、彼を苦しめた環境のせいなのか?なぜ逃げることができなかったんだ?考えてもしようがないことばかり考えた。

彼が荼毘に付される時が来た。ようやくわかってきた。「彼は死んだんだ」。もう涙は枯れてしまった。僕もつらい、でも家族も、ほかの友人たちもつらいんだとその時わかった気がした。

正直、何月何日に死んでしまったのかも覚えていないけど、たまに彼のことを思い出す。人一倍責任感が強くて、まじめで、天然ボケな彼が描いていた未来はどんなだろう。きっと僕より、僕の今の職業に熱心で、向いていたんじゃないかなと思う。でもそんなことを自慢することもなく、ニコニコしていたのかもしれない。

さかいゆうの君と僕の挽歌を聴いて、彼のことを思い出して泣いた。僕は彼がつくだろうはずだった職業についている。

今どんな大人にボクはみえるかな?
How’s it going?
調子どうですか?
こちらはつらいこともありますが

俺は相変わらずだよ、たまには会って話したいよ