アメリカに新婚旅行に行った話②

私と英語シリーズ②です。
前回の続き。

 

出発

さて出発の日が近づいてきた。
話は少し広がりを見せてきて、具体的に行く場所、会う人、食べるものなんかも決まってきた。
緊張もあってけれどもそれより何より楽しみなことが多かった。
読んだり話したり、英語に触れる時間もキープできていたので、きっと大丈夫だろう、なんなら有意義な話一つできるかもしれない、なんて思っていたりもした。

出発は鹿児島の空港から香港を経由し、アメリカに行く便だった。普段安い航空券を探す癖がついており、新婚旅行にもかかわらず割りとハードな時間の便を選んだが、まあ結構楽しかった部分もあった。
途中で謎に中国に入国してみたり、中華料理を楽しんだり、妻と映画を見たり。リラックスできていた。

そして時は動き出す

そして事件は起こる。
最初の目的地はマイアミである。中国から一度NYのJFK空港に行き、そこからマイアミに飛ぶ計画だった。
その際、深夜便だったので空港で引き続き映画でも見ながら時間でも潰そうかというふうに考えていた。
行ったことのある方はご存知かもしれないが、JFKはとても広い空港である。何が広いって敷地が広い。なのでターミナル間の移動はTrainだったりする。

私は今、”Train”とあえて英語で書いた。ここからが恥ずかしい物語である。
空港に到着して、私たちはターミナルを移動する必要があった。別に出発時間近くに移動しても良かったのだけれども、慣れない土地でバタバタしたくなかったので、深夜も動いているTrainに乗ろうとした。
Trainターミナルの入り口付近に小綺麗な格好の背の高い黒人の男性がいた。耳にインカムのようなものをつけて、いかにも空港職員のような風貌だった。「さすが大きい空港、夜中でもこうやって働いている人がいるのだな」と感心していると、話しかけてきた。なんて言ってきたかは覚えていない。

私はフィリピンやインドやタイに行っている。観光客に対する客引きのめんどくささと恐ろしさは知っている。下手したら下手をする、といつも肝に命じていた。ショルダーバックは必ず前にかけ、眠たい時は必ずバックは抱きしめ、現金は複数の場所に分けて携帯した。
そんなセンサーが働いたのだろう、話しかけられた時、とっさに拒否反応を出してしまった。その人を無視した。
すると、あちらが「なんだよ、せっかくこっちが親切してやっているのに・・・」というようなニュアンスのことをボソっていって呆れ顔をむけてきた。
「あ、この人は客引きではなくて、空港職員だった、いけね!」と僕の脳内は勝手にイメージを変えたのだった。

少し話を聞くと、Trainターミナルを案内してくれるらしい。世界中のどこに行っても看板を見ることにしているが、ターミナルとは違う方向に連れて行かれた。
なんかおかしいと思い始めた。妻もなんかおかしいと思い始めていたらしい。
そう、我々は騙されたのだった。

謎の老人

先に進むと謎の白人の老人に出会った。
彼もBusを待っているという。そうかBusを待っているのか。
お気づきかもしれないが、”Bus”を待っているのである。その時私の頭は完全に思考停止していた。
その老人は比較的平易な英語で身の上話をしてきた。元メジャーリーガーだとも言っていた。そんなバカ見たいな話でも少し信じかけていた。
要するに、その爺さんはサクラである。今考えるととても憎たらしく思う。

我々はTrainではなういBusに載せられた。
運転手は黙って運転し、先ほどの空港職員見たいな男は助手席に座っている。じいさんは我々の隣だ。
途中、何かのサインを書かされる。無料のバスなのにもかかわらず書かされる。この時点で騙されたことに気付いている。しかし、今更どうしようもない。
しかもアメリカは銃社会である。殺されたらたまったものじゃない。
この時点で、完全にどうやったら安く見逃してくれるかを考え始めた。
無駄に長い時間運転をしていた様子だった。ぐるぐるとハイウェイのようなところを周り、20分ほどBusに乗っていただろうか。いざ請求の時間である。

彼らは500ドル請求してきた。バカである。馬鹿げた金額に流石に狼狽た。
先ほど書いたが、財布には一部の金しか入れていない。私たちはその時(財布の中に)500ドルも持っていなかった。泣きつく作戦で行こうと考えた。
「私たちは新婚旅行で来ている。遠い国に来たから貧乏旅行だ。だから財布の中には全然お金が入っていない。今あるのはこれだけが限度だ」と言って確か300ドルぐらいを見せた。
そんな金額じゃ絶対ダメだと言われる。でも今(財布に)現金がないのは事実だ。
徹底的に泣きついた。銃を出されて脅されたらどうしようと心では怖かった。
結果、空港職員見たいな男がボスに電話し(たふりをし)て、300ドルぐらいで治った。
車から降りる時、荷物はおろしてくれようとしたが、腹が立っていたので、荷物をその人から取り上げて無言で去った。殺されなくて良かった。

結論

その後、妻はなんかおかしいと思っていたという旨の話をしていた。私も途中そうは思っていたが、もう止められなかった自分を反省し、妻には次回こういうことがあったら必ず違和感を伝えてほしいことをお願いした。
そして、熱いコーヒーとベーグルを買って食べた。とっても美味しかったのを覚えている。

僕は少し英語を自信を持って使えるようになったからと言って舞い上がっていた。とても恥ずかしいが事実である。そしてアメリカの大地に我々はいる。
そんなはずはない、コミュニケーションを取れるから大丈夫という慢心がこの悲劇を生んだと思っている。
その後は一切そういうことには巻き込まれなかった。
(一度時差ぼけでアルコールも入ってとても眠くて、タクシーで寝落ちしてしまって、財布も忘れそうになるが、親切なタクシードライバーだったので助かった)

僕の友人たちがNYに行った時も、同じような事件に巻き込まれたらしい。僕よりよっぽど英語を話せる彼らがどうしてそんなことになったのだろうとその時は心から思っていたけど、今回の事件でとても納得した気がした。

そして最近、妻からこんなニュースが送られてきた。

www.nikkansports.com

全く同じパターンだった。
でも僕たちの方がより多くぼったくられたね、と笑って話すことができました。

英語を学んでコミュニケーションをを深めることはとても重要だと思う。
だから、幾ら学んでも損はないと思う。

でも、物事の核心は「英語を話すこと自体」にはない。多分別なところにある。
ただの英語屋さんになっては行けないな、そういうのを切り抜ける術を身につけて、トラブルも楽しく回避できて、それができてコミュニケーションだなと思えたエピソードでした。

旅行初日にもたどり着いていないけれど、英語というところで印象的だったのはここまでなので一旦終わります。

PS. 後日恩師に「英語に困ってなさそうだった」と言ってもらえたのが一番嬉しかった。

アルク #トーキングマラソン 特別お題キャンペーン「わたしと英語」

アルク「トーキングマラソン」×はてなブログ 特別お題キャンペーン
by アルク「トーキングマラソン」